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【12回】美を演出する科学Column

【12回】美を演出する科学Column

前回に続いて、今回も化粧品とレオロジーの話を続けていきます。

特に男性にとっては、そもそも化粧品の意味ってなんだ? という方も多くいるでしょう。
もちろん、美しく装うためのツール(道具)と言えばその通りなのですが、その元には基本となる機能・効能というものがあります。
大きく言えば、肌に潤いを添加すること、そして保湿すること(スキンケアやヘアケア)です。
その上で、美しく演出する(メークアップ)という目的が加わってくるものと言えます。
その他、香水や体に使う洗浄剤も化粧品の範疇にはいるものと言えます。

特に最近では、ユーザが女性、男性にかかわらず、そこにさらなる機能や効用(美白、肌荒れ対策、日焼け防止など)、そしてより快適な使用感(さらっとしている、ベタつかないなど)などが求められています。
レオロジーは、そうした商品を開発していくための一端を担っています。

化粧品の基本はエマルション

化粧品のもっとも基本的な形態は、レオロジーから見るとエマルション??クリームや乳液などです。
エマルションとは、水と油のような2相の液体物質が、一方が溶媒、一方が溶質として混ざり一体となっているものを言います。
かなり乱暴に言えば、化粧品はこのエマルションを基剤として、そこに商品の"のび"を調整する増粘剤、各種有効成分(塩類、コラーゲンなど高分子材料、機能性酵素など)、色素、香料等が配合されたものと言えるでしょう。

エマルションには、大きく2つのタイプがあります。
化粧品として多いのが水の中に小さな油の粒子が点在するタイプでO/W型と称します。
牛乳はこのO/W型。
もう1つはその反対に、油の中に小さな水の粒子が点在するタイプでW/O型と称します。
マヨネーズがこのW/O型でよく知られる製品の代表です。

O/W型のエマルションが化粧品に多く使われるのは、水分と油分を同時に塗ることができる点にあります。
水ベースのO/W型である点は、さっぱり感を得た後で保湿成分となる油分が塗布される、その使用感が多く好まれるためのようです。
逆に言うと、ユーザが求める多様な使用感を生み出していくために、エマルションの状態をどう調整するか、そうした乳化の技術が大きなポイントになってきます。

一般に、溶け込む方の粒子が小さいほど、エマルション全体としては安定することになります。
また、使用感もさっぱりとしたものに仕上がります。
逆に油粒子を大きくしていけば、もっとのびが良くしっとり感の強い製品を作る事ができるわけです。

しかし、これまで本コラムでもたびたび記してきましたが、分散粒子が大きくなるほど安定性が失われ、かつ均一な分散が保ち難くなります。
この課題に対して、ある化粧品メーカでは二つのアプローチをしています。

1つは分散させる油粒子の周りを常温で固形の油で覆い(シェル)、安定を保つものです。
固形の油分を変えることでシェルの固さは調整可能だそうです。
もう1つが、W/O/W型と称されるエマルションを作ることです。
W/O/W型とは、水の中に油粒子を分散させるタイプ(O/W型)をベースに、分散させた油粒子の中にさらに水分を含ませたものです。
油粒子はいわば水膨れ状態となり、結果として巨大化します。
ただし、単純に大きな粒子とは異なり、容器の中では安定し、使用時に塗布というズリを加えることで初めて壊れ、のびの良さと瑞々しさをより強く感じることが出来るそうです。
化粧品メーカは、このW/O/W型の開発に独自の技術を投入しています。

ナノサイズの粒子を活用する

今度は、配合する成分粒子をより細かくする開発を見てみましょう。
日焼け止め化粧品を例に取ります。

日焼け止め剤は有害な紫外線から肌をブロックすることが機能で、その性能はSPF(Sun Protection Factor)値で表します。
紫外線をブロックするためには、少なくとも紫外線の吸収剤と散乱剤の成分が配合されます。
このうち、散乱剤として用いられることの多い白色の酸化チタンですが、塗った時にどうしても白さが目立ってしまうという、化粧品としては欠点がありました。
これを解決するための方法が、酸化チタンをナノサイズにすることです。

ナノサイズとなった酸化チタンは紫外線を含む光を周囲に拡散させ、肌への到達量を減少させます。
それは同時に、白光りするのも抑えられることになり、SPFを高めつつ透明感の高い日焼け止め剤を求めるニーズに応えるものとなるのです。

このように、今後も新たな化粧品への期待やニーズが様々に出てくるでしょうが、その開発過程では、レオロジーの成果がいちだんと取り入れられることになるでしょう。

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